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浜松の夜“お通し”から始まる冒険
「お通しが、マグロの中落ち?」出張先の浜松で、取引先の方から聞いたその一言で、私の胃袋の冒険は幕を開けました。50年以上続く居酒屋「ほりかわ」にて、まず出てくるのがマグロの中落ち。「これがお通し!?」これはもう、ただの前菜じゃない。
浜松グルメといえば…忘れちゃいけないのが浜松餃子鰻ですよね。しかし!それだけじゃない。魚介もうまい!遠州灘、浜名湖、天竜川と三つの水源をもつ浜松は、海の幸・川の幸・湖の幸すべてが揃うグルメの宝庫なのです。
そして次に現れたのは…ヘルシー界の裏番長(栄養価すごい)とも言えるわかめ。わかめの天ぷらです。衣をまとったシャキシャキのわかめが、私の予想を遥かに超えてくる。ヘルシーなのに酒が止まらないとは…なんとも罪深い。
続いて湖の幸、浜名湖海苔とうふ。磯の香りが脳内で激しくダンス、私を揺さぶります。浜名湖って海苔までうまいのか…。しっとり濃厚な豆腐と磯の香りが絡み合うこの逸品、食べている最中に「浜名湖に引っ越したい」と思ったのは、人生で初めてでした(※大袈裟です)。
〆は、きなこバニラアイス。すべての料理の余韻をやさしく包み込む。ふんわり甘いデザートが口の中で、和と洋が仲良く手をつないでおります。あぁ、これが平和ってやつか…。
この名店を支えるのは二代目店主。「ここでしか食べられない」感に、また必ず来たい!!と大層、気に入りました。スタッフの皆さんが作る温かい雰囲気も相まって、味わいに深みが出るんですよね。店の天井を見上げながら、「なんか、自分もがんばろ…」って、思わず心がつぶやいていました。ちなみに、浜松といえばやはり「浜松城」。徳川家康が17歳から45歳までの17年間を過ごした地。戦国の世に、数々の激動を経て天下泰平を築いた家康ゆかりの地として名高く、浜松は“出世の街”とも言われていますよね。
そんな浜松の夜、ふらりと立ち寄った「ほりかわ」で、普段ならお酒の雰囲気と共に溶けていく「お通し」に、このうえない幸せを感じてしまった私。もう他の居酒屋で「枝豆と冷奴」が出てきても、きっと心が動かない。食は旅だ。そして、うまい居酒屋は人生のオアシスである。
この記事を書いた人
BAJ STAFF